介護が始まると、自分の時間がどんどん削られ、気がつけば生活の中心が「介護」になっていた…そんな経験はありませんか?
- 「母の体調が不安定で、目が離せない。だけど、誰にも相談できない」
- 「きょうだいは『任せる』と言うだけで、手伝ってくれない」
- 「イライラして冷たくしてしまった自分が嫌になる」
- 「嫌がってデイサービスに行かない」
- 「お風呂に入れるのが大変で体力的にもしんどい」
今回は、家族が介護の中で感じる悩みや不安を整理し、それぞれに小さな解決策をまとめました。介護負担軽減のヒントにつながれば嬉しいです。
よくある介護の悩み・不安とは?
介護の悩みは、人によってさまざまですが、特に多いのが以下のようなものです。
介護はとても個人的な問題のように見えて、実は多くの人が同じような悩みを抱えています。
でも、それを声に出せないまま、頑張り続けてしまう人が多いのです。
● 体力・気力が限界
たとえば、夜中に何度もトイレ介助で起こされて寝不足。翌朝は仕事にも行かなきゃならない。そんな日々が続くと、身体も心もクタクタになります。
● 認知症への対応に戸惑う
「さっき食べたでしょ?」「その話、もう何度も聞いたよ…」ついきつく言ってしまい、あとで後悔。何度同じことを聞かれても、笑顔で答える余裕なんてない。そんな自分を責めてしまうことも。
● 家族間での温度差
「一緒にやってほしい」と思っても、「忙しいから」「わからないから」と逃げ腰な家族。結局ひとりに負担が集中し、つい不満が募ってしまう…。
● 経済的な不安
介護サービスの利用料、オムツや医療費、交通費。じわじわと財布を圧迫し、「このままで大丈夫なのか…」と将来が不安になる。
● 誰にも相談できない孤独感
「こんなこと、誰に話せばいいの?」と思いながらも、周囲には気を遣ってしまい、結局ひとりで悩みを抱え込んでしまう方も多いです
👉介護をする側には、さまざまな悩みがあります。 また、介護は他人と比較しずらくそれは「みんな同じ悩みとは限らない」から。似たケースはあっても本人の性格、介護度、家族の状況、たくさんの介護職が関わる為、不安や悩まれる内容は数えきれないほどあると思います。
がんばりすぎている自分に、ひと呼吸
それでも、大まかにまずは「何に困っているのか」を整理することが大切です。
まずは、自分が今どんな気持ちなのかを「見える化」してみましょう。
● ノートやスマホに書き出してみる
「今日疲れたこと」「モヤっとした瞬間」「本当はこうしてほしかったこと」など、小さなことでもいいので書き出すだけで、気持ちが少し楽になります。
● 「できたこと」に目を向ける
たとえば、
- 今日も食事をちゃんと用意できた
- 転ばせずにトイレ介助できた
- ヘルパーさんにお願いできた
…こんなふうに「できたこと」を見つけることで、少しずつ自信が戻ってきます。
● がんばりすぎない
「完璧にやらなきゃ」と思うと、どんどんしんどくなってしまいます。7割できたら上出来。ときには「ちょっと手を抜く日」も、自分を守るために必要なことです。まずは「自分が何に悩んでいるか」を整理することで、適切な対応が見えてきます。
誰かに話してみるという選択
「介護のことを誰かに話すなんて、わがままなのでは…」「相談してもどうせ変わらない」と思っていませんか?
でも、誰かに話すことで、自分の気持ちに気づいたり、思わぬ解決策が見つかることもあります。
● 地域包括支援センターに相談する
介護のことなら何でも相談できる、地域にある公的な窓口です。制度のこと、サービスのこと、「このままでいいのかな…」という漠然とした不安でも大丈夫。優しく話を聞いてくれるスタッフがいます。
📍検索方法:「〇〇市 地域包括支援センター」で検索してみてください。
● 主治医やケアマネに気持ちを伝える
「最近ちょっとしんどくて…」と一言添えるだけでも、周りの支援者は状況を見直してくれたり、提案を変えてくれることがあります。
● 身近な人に「ただ聞いてほしい」と伝える
家族や友人に、「解決してほしいわけじゃないけど、聞いてくれるだけで助かる」とお願いしてみてください。意外と、寄り添ってくれるかもしれません。
介護サービスを上手に活用する
介護は家族だけで頑張るものではなく、利用できる支援を知ることが大切です。
● 例えばこんなサービスがあります:
- デイサービス(通所介護)で昼食・お風呂に入って日中を過ごしてもらい、自分の休息時間を確保
- ショートステイで数日預かってもらい、旅行やリフレッシュに
- 福祉用具レンタルで、腰への負担を減らす介護ベッドや手すりの導入
- ヘルパーさんがデイの荷物準備や買い物にいってくれて家に通う回数が減らせる
● 「使う=甘え」ではありません
むしろ、制度を使って無理せず続けることが、本人にとっても家族にとっても大切なのです。
相談先がわからないときは、ケアマネや地域包括支援センターへ。利用できる制度を一緒に整理してくれます。
👉「すべてを自分でやらなくては」と思わず、頼れるものは積極的に活用しましょう。
こんなふうに変わった!実際の声
📖 40代女性・同居介護中
「デイサービスを利用するようになって、母も表情が明るくなったし、私も気持ちに余裕ができた。“1日休める”って、すごく大きいです。」
📖 50代男性・ひとり息子として在宅介護中
「母が認知症で徘徊や夜眠らなくて辛かった。ケアマネに『一人で抱えなくていい』って言われて、ショートステイを調整してくれて救われました。相談して本当によかったです。」
📖 30代女性・ワンオペ介護経験者
「義母との同居での介護。子育てもしながら「なんで自分だけこんなに頑張っているんだろう」と辛かった。ケアマネや地域包括の方に相談して、介護度の再審査(区分変更)をお願いして区分が上がったことで使える支援が増えた。」
心の負担を軽減するポイント
介護の負担は、身体だけでなく気持ちの面でも大きいもの。 精神的な負担を軽くするための工夫を取り入れましょう。
- 「完璧を目指しすぎない」 → 「無理なく続けることが大切」と考えることで気持ちが楽に。
- 「気持ちを話せる時間をつくる」 → 家族や友人に話すことで孤独を感じにくくなる。
- 「介護の時間に小さな楽しみを取り入れる」 → 好きな音楽を流したり、会話を増やしたりする工夫も◎。
- 「自分のケアも忘れない」 → リフレッシュする時間を持つことで、介護が続けやすくなる。
自分の生活も大切に。頼れるものを活用しよう
介護の不安や悩みは、すべてをすぐに解決できるわけではありません。 でも、小さな工夫を積み重ねることで、負担を少しずつ軽くしていくことができます。
介護に正解を求めるのは難しいこと。
「こうしなきゃ」「もっと頑張らなきゃ」「こうすればよかったかも・・・」と自分を追い込み過ぎないでください☺️
“今の現状や気持ち”を受け止めることは大事かもしれませんが、仕事、子育て、家庭のこと、たくさん考えることがある毎日に、介護の悩みや不安まで受け止めるのは並大抵のことではないと思います。
そんな時は介護のプロ(ケアマネ・ヘルパーなど)に話して力を借り、そして介護サービスをしっかり使わせていただきましょう。それは逃げでも甘えでもなく、今の自分(家族側)の生活を守ることも大切だからです。
介護を続ける家族自身も、心と体を大切にしながら関わっていけるよう、支援を活用しながら無理なく続けていききましょう☺️
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